ポップアップお茶室シリーズ
一服いかがですか ?
「ポッ プ・アップ・お茶室シリーズ」はアーティストや様々な人たちの出会いの場で、「茶事」を通し、お互いのアイディアを交換できるクリエイティブな場です。 その空間は、実際のお茶室であったり、仮想のものであったり、また、シュールな映像であったりします。お茶を通してritual(儀式)やパーフォーマンスの可能性を探ってゆき、また「不可思議」で「未知の」ことを受け入れて遊びます。「ポップ・アップ・お茶室シリーズ」は日本の茶室からインスピレーションを受けました。千利休の造った茶室の入り口 は、体をかがめなければ入室できない躙口(にじりぐち)になっており、そこに入るためには侍も刀を持たず、いわゆる階級制度をなくしてから茶室に入らねばな りませんでした。権力をもたない素のままの人間同士が、お茶を通して会話するという試みに、私はとても惹かれます。16世紀の戦国時代、戦火の 中に茶室が建てられ、茶の湯が侍達の気持ちを和らげ、(また荒立て!)様々なことがおきていた。あふれんばかりの情報に囲まれている現代、様々な戦いや chaos(混沌)の中で生きていかねばならない私たちの生活の中で、今、一体どんな「お茶」を点ててゆくことができるのか、私の興味は尽きません。
お茶を始めてまだ間もない私にとって、茶道についてまだまだ学ぶところがたくさんあります。子供の頃は「お茶は古くさいもの」とばかり、当時の私には全く興味が持てなかったのですが、今や、茶道の流れや点前を習うたびに、その新鮮さとアバンギャルドな感覚に引き込まれていってます。お点前の簡潔な動き、茶室での静けさ、一服差し上げ、一服頂ける素晴らしさ。茶道は現代生活の中で私たちが忘れかけてしまった「こころ」の在りかたを見つめなおさせてくれるようにすら思えます。私にとってお点前は一つの「踊り」「アート」そのもので、その研ぎ澄まされて蒸留された動きにとても魅力を感じます。その凛とした潔さ、美しさは、清らかさは、私が常日頃、芸術創作活動の中で求めているているものに重なってゆくのです。もっと歪んでもっと美しく。もっと遊んでもっと真剣に。。
わたしのポップ・アップする(飛び出す)疑問は続いてゆきます。
このプロジェクトは過去にオーストラリア政府・アーツカウンシル、ダンス部門からのフェローシップによる助成金を受け、2015年から始まりました)
(感謝:Adam Sōmu Wojciński 先生)